
ところで、マドは茨城県動物管理センターに収容されていた犬。推定年齢一歳の頃、成犬譲渡会を経て、
『片野さん』の家にやってきた。捨てられたのか、誰かに持ち込まれたのか、詳しい経緯は知らない。大吉も同じく茨城県出身で、柴系の雑種の母犬が、近所で放し飼いにされていた白い犬に孕まされて生まれた犬。

なんでもその辺りでは、毎年のように白い仔犬が生まれるらしい。放し飼いを注意したくても、近所付き合いがあるのであまり強くいえないという。仕方なく、生まれた仔犬の多くは動物管理センターに持ち込まれる。しかしそれはあまりに忍びないと、母犬の飼い主は、個人ボランティアに里親募集を依頼。結果、仔犬にはすべてもらい手が見つかった。その3兄弟のうちの一匹が、大吉。何の縁だか我が家にやってきた。

大吉も一歩間違えば動物管理センターに収容されていたかもしれない。そこでマドのように譲渡会で飼い主が見つからなければ、最悪の場合殺処分されていたかもしれない。現に茨城県に限らず全国ではものすごい数の犬や猫が毎日殺されている。収容施設でも、なんとか殺処分数を減らそうと、様々な取り組みを行っているところが増えてきている。が、捨てる人がいる以上(避妊・去勢含む)、根本的な解決にはならない、という個人的な思いは
『でかお』
のあとがきでも書いた通り。

マドの飼い主である片野さんも、以前からこの問題を取り上げている。先日紹介した
『ゼロ! こぎゃんかわいか動物がなぜ死なねばならんと?』
もそのひとつ。殺処分を減らすために必死に取り組んできた熊本市動物愛護センターへ何度も足を運び、取材を重ねたものが一冊にまとめられている。熊本市動物愛護センターの話は以前から知っていたが、改めて読むと、職員さんたちの大変な苦労に頭が下がる。

実は、熊本市動物愛護センターには今年に入ってから一度、おっさんも取材に行ったことがあり、施設もこの目で見たし、前所長や現所長、それに職員さんたちの話も聞いていたので、この本を読みながら情景や人や犬の顔が蘇りました。殺処分を減らすためにはどうすればいいのか、何ができるのか、可哀想だけでは済まされない問題に正面から取り組んでいる人たちの姿が描かれています。大変読みやすい文章なので、機会があればぜひ読んでみてください。

そんなわけで、若干脱線してしまいましたが、約4時間ほどの滞在中、マドが大吉に心を開いて一緒に遊ぶ、というところまではいきませんでした。最後の方はわりとリラックスしてくれてたけど。結局相手にしてもらえなかった大吉。残念、山芋君。何回か来たら、そのうち仲良くなれるかな。

またおいで。