金曜日は「DEEP」という格闘技イベントを観戦しに後楽園ホールに行った。現在、通っているジムに所属する選手が出場するため、その応援に向かったのだった。ジム通いのきっかけをつくってくれた岡さんに声をかけたところ、二つ返事で一緒に行こうと盛り上がる。
ずいぶん前に後楽園ホールで格闘技を観たことがあるが、今回もそのときと一緒で「自分から行けやオラァ!」とか「やってまえっ!」とかいうガラ悪めの声援が飛び交っている独特の雰囲気に軽くビビる。そして以前なら試合が膠着していたりすると、内心「しょっぱい展開だなー」などと思ったものだが、自分もほんのちょっと格闘技をかじった今となっては、その見方は全然違っていた。
そのあたりは岡さんも一緒のようで、「5分1ラウンドなんか絶対無理だよね」とか「あんな怖そうな人の前に立つのさえ嫌だよね」とか「今の、俺らが食らったら死んでるよね」などと小声でひそひそ話していた。そしていよいよ目的の選手が登場。普段ミットを持ってくれたりするやさしい人が、リングにあがると顔つきが違っていて、男心がキュンとなる。
岡さんと二人、前のめりになりながら試合を見守る。知っている人が戦っているので応援に力が入りまくる。が、思うような試合運びができずに、結果は判定負け。試合後、「くそー、あいつ組み付いてばかりきやがって」とか「ねちっこい奴だったよね」とかさんざん悪態を付きながら水道橋の駅へ向かった。

そんな二人の姿を、一緒に来ていた岡さんの奥さんはやさしい目で見守るのだった。